11月15日(水)。
IN。
神経内科の先生から簡単な問診を受けた後、作業療法室へ移動すると本間先生が僕とカミさんを出迎えて下さいました。
初対面し、ご挨拶させて頂きました。
これまでの段取り事は全てカミさんが担当してくれていたので、本間先生と僕がお話するのはこの場が初めてです。
会話をしながら早速僕の声の質というかタイプを探っているようです。
今日明日の段取り等についての簡単な打合せと併せて、僕の身体の力の入り具合、特に上肢について確認して頂きました。
本間先生は、これまでに300名程度のals患者の声を保存してこられたそうです。
この内60名は、もうこの世にいないそうです。
これまでに多勢の声の保存に携わってきた経験から、als患者それぞれの現在の症状を診ると会話することができなくなるまでに残っている時間、つまり球麻痺症状が現れるまでの時間がある程度予測できるとのことでした。
このことについて、先生から僕の場合はどうなのかという具体的な言及はありませんでした。
気にはなりましたが僕の方からも、その予測について問い合わせることはしませんでした。
レコーディングスタジオのような部屋に移動しました。
外部からのノイズを遮るため扉は頑強な作りで二重構造に、また、マイクを通じて声を拾うことから室内での反響を防ぐためか吸音効果がありそうな壁面になっており、声を録音するための環境が整っておりました。
録音するにあたって、三種類あるマイクの中から僕の声質に合ったモノを一本選びます。
僕と会話したことがある方は、ご存知だと思いますが、僕の話し方は非常にクセのあるもので、オマケに滑舌(かつぜつ)が悪く声の音域は非常に低音域です。
本間先生から直接的にこのことを指摘された訳ではありませんが、僕の声をリアルに再現するためにはどのマイクを選択することが最適であるのか、もの凄く迷われておられる様子でした。
何度かマイクテストを行いカミさんの意見も考慮した上で、ようやく一本のマイクに決まりました。
低い声質が僕の特徴でもありますので、その声質を三本の内で最もリアルに再現できる可能性のあるものを本間先生は選択されました。
病気(als)になってからそのドラマの存在は認識したのですが、僕は未だにそのドラマを見たことはありません。
何年か前に筋萎縮性側索硬化症(ALS)を題材に取り上げたテレビドラマが放送されたことがあったようです。
本間先生曰(いわ)く、このマイクをはじめ、こちらにある機材の一部はそのドラマの撮影当時に主演の役者さんが実際に使用したものだそうです。
本日の声の録音自体は、途中一度休憩を挟みながら二時間程度で終了しました。
「 あ 」「 い 」「 う 」「え 」「 お 」の母音に始まり、子音を一通り収録した上で、事前に頂いていたセリフ案のリストを元に日常でよく使いそうなセリフの一部を収録しました。
初めての体験という事もあり、普段よりも少しよそ行きの声になっていたような気もしますが、まぁ仕方がないです。
本間先生からは声の保存に関すること以外にも、この病気(ALS)について、これまでに診てこられた多くの患者さんの事や、この病気に対峙(たいじ)する先生の思い等を聞かせて頂き、また、激励(げきれい)の言葉も頂戴しました。
本間先生、本日はどうも有難うございました。
また明日も宜しくお願いします。
【 東京都立神経病院 マイボイス 】
http://www.byouin.metro.tokyo.jp/tmnh/medical/central/rehabilitation/work/my-voice.html
【 マイボイスとは 】
http://user.keio.ac.jp/~kawahara/pdf/MyVoicePhonologyForum2014.pdf
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【 作業療法士の本間武蔵先生 】
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【 本間先生ご出演のラジオ番組 】
https://www.tbsradio.jp/123991