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日本ALS協会山口県支部長のブログ。~ als20170208’s diary ~ 近況と日々の記録。

「誰も教えてくれな~い」

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「誰も教えてくれな~い」

仰るとおりです。

ていうか、もっと正確に言うと、、、

「誰も知らな~い」が、本当のところだろうと思います。

知らなければ教えようがありませんからね。

このALS(筋萎縮性側索硬化症)という難病は、かなりレア(稀少)な病気なので、医療従事者だからと言って、そうそうお目にかかれるものではありませんから、他の病気と比較して、臨床情報(現場の情報)が絶対的に少なすぎるんだろうと思います。

もちろん、教科書レベルでの知識は皆さんお持ちですが、お医者さんと言えども、それ以上の情報を持ち合わせているケースは滅多にありません。

でも、こればっかりは、合理性を考えると当然で仕方のないことだと思います。

患者数も少なく、しかも、その病気が現代の医学では治らないとくれば、そんなことのために時間を費やすことほど不合理なことはありませんからね。

なので、我々患者側ができることとしては、お互いが持っている情報を共有し、それらを元に、将来起こりうることに対して備えていくしか方法はないんだろうなと思います。

いくら素人と言えども、自身が発信する情報に対しては、それなりの責任が伴うと思うので、これまでは、この病気のことについて断定する物言いは、できるだけ控えてきましたが、せっかくの機会なので、ボクの経験上、以下のことだけは断言しておきます。

 

ボクのこれまでの経験上で、これだけは言い切れる2つのこと。(本当は、もっとあるのですが、長くなるので今回は2つだけにしておきます。)

1.胃瘻は、体力と呼吸機能に十分な余力があるうちに造っておいたほうがよい。

将来的に延命(人工呼吸器を装着)するしないに関わらず、嚥下障害が進行すると、皆さん胃瘻(ペグ)を造ることになると思いますが、これは絶対に早いほうがよい。

極端な話かもしれませんが、ALSと確定診断されたらすぐにでも造っておいたほうがいいくらい。遅くとも、嚥下機能に少しでも違和感を覚えたら、躊躇なく造るべきである。

ボクの場合は、ギリギリまで引っ張ってしまったおかげで、本来なら胃カメラを飲む程度で済んだはずの手術が、大掛かりな開腹手術になってしまいましたからね。

おまけに、呼吸機能が随分と低下していたことから、全身麻酔では自発呼吸が戻らなくなる恐れがあり危険だということで、局所麻酔での開腹手術でした。

ビビらせるつもりはありませんが、これは、なかなか過酷です。

あと、病状が進行してからの入院生活は何かと大変です。ただでさえ体が動かないため、術後は想像以上に不自由します。また、術前、術後は絶食になるためこの数日間のうちに体重が激減します。ボクは二週間ちょっとの入院で5kg以上瘦せてしまいました。

この病気において急激な体重減少は、病状の進行加速を意味しますからね。

そして、ボクは、あの入院生活で、この進行加速をリアルに感じました。当時、入院前までは、ベットのふちに寄りかかっていれば、立ち続けることができていたのに、退院してからはまったく立ち上がれなくなりました。

結局、あの入院以来、寝たきりになってしまいましたからね。

人間誰しもが、自分だけは『まだ大丈夫』と思いがちですが、この病気において、この考え方はあとあと後悔を招きます。

 

2.呼吸機能が低下したALS患者に対するバイパップ(NPPV:非侵襲的換気法)の使用が、有効な治療であることは間違いないと思うが、嚥下障害のあるALS患者に対するバイパップの使用には細心の注意を払う必要がある。

嚥下障害が進行すると、喉の筋肉に力が入らなくなるため痰を自力で吐き出すことができなくなるが、バイパップは強力な圧を加えて空気を強制的に肺へ送り込もうとするため、せっかく上がってきた痰まで押し返すことになり、最悪の場合、この押し返された痰によって窒息する。

ボクは、このパターンで救命救急センターへ搬送されました。当時、既に上肢が全廃していたため、自力でバイパップのマスクを取り外すことができませんでしたからね。

ところが、搬送された大学病院でも、このことに誰も気づかず、その後、何日間かはバイパップを装着されたままでいました。

そして、ある日を境に、突然、ボクへのバイパップの使用は禁止されました。

『だから、ボクはあれだけ必死でバイパップを外せって、何度も言うてたやんか、、、』

これ以上は、身内を含め関係者の名誉のために控えておきます。

バイパップの装着が禁止されたあと、延命治療のため気管切開手術を受けるまでのあいだは、鼻から酸素を送り込むことで呼吸苦を緩和していました。それでも、どうしようもなく苦しくなったときは、看護師さんが付き添いのもと、ほんの数秒間(一呼吸か二呼吸)だけ、バイパップを付けては外すということを繰り返しながら凌いでました。

結論としては、上肢が全廃して自力でマスクを取り外せない上に、嚥下障害もある患者に対してバイパップを使用する場合は、細心の注意が必要です。痰が上がってきたら、まずは、カフアシストなどを使って痰を取り除くことが重要です。痰を喉に詰まらせた状態でのバイパップの使用は窒息死を招きます。

 

最後に、数あるSNSの中で、ボクが見た限り最も情報確度が高い中でコミュニケーションが図られているコミュニティを2つ紹介させて頂きます。中には、???となるような投稿も混ざっていますが、一目瞭然なので、それほど害はないと思います。いずれも、フェイスブックです。

1.ALS(筋萎縮性側索硬化症) | Facebook

2.広域自薦(ALSと在宅生活) | Facebook