山口大学医学部附属病院の先生方及び看護師さんをはじめ、その他、今回の入院中にお世話になった関係者の皆さまへ。
おかげ様で、昨日、無事に退院することができ、自宅での生活を再開することができました。今後の在宅生活については、西川医院のN先生の指示のもと、訪問看護師さんを中心に、日々のケアを組み立てていくことになります。
入院中、こんなわがままな患者に対し嫌な顔ひとつ見せず、一貫して献身的なケアをして下さった看護師さんたちには、本当に感謝しております。
ありがとうございます!
手術の前後には、上手く意思疎通が図れず、一部の看護師さんに対して失礼な態度をとったこともありましたが、誠に申し訳ありませんでした。
ごめんなさい。
そして、今回の入院中、主治医を務めて下さったT先生には、退院後の生活が上手く運ぶよう道筋をつけて頂きました。
『人類史上、この病気の存在が明らかになってから150年ぐらい経ちますが、未だ、この病気を治すことはできません。しかし、科学技術の進歩のおかげで、ここ10年くらいの間にALSに関する研究も随分と進んでいます。フクシマさんは若い。こんなところで諦めるには、まだ、早い。生きていたら何が起こるか分からない。その選択に大賛成です。』
このたびの延命治療に関する手術前のカンファレンスでは、我々夫婦の選択に対して、主治医のT先生はこのように後押しして下さった。
『フクシマさん、生きてる?』
手術直後から、ボクの病室に現れる際の第一声は、決まってこの言葉。
そして、ボクは、これに対して毎回大きく頷く。
ぶっきらぼうな物言いをする医者だが、患者に対する愛情のようなものを感じました。
『ボクは、転院はしません。自宅に帰ります。』
それならば、在宅で生活できる環境をいち早く整える必要がある。
地域医療における大学病院の立ち位置からすると、高度な医療を提供し、生命の危機を救って状態が安定した患者は、周辺の協力病院へ転院させそこで退院の準備をさせるのがセオリーです。なかでも、こちらの大学病院は地域を代表する基幹病院です。
ボクのわがままで、こちらでの入院生活が長引き、T先生には大変ご迷惑をおかけしました。
『毎週木曜日の夕方は会議や!関係者を集めろ!』
偉そうに自宅に帰るとは言っても、全身が不自由で人工呼吸器を付けたボクのような場合は、24時間体制で誰かに見守ってもらう必要があります。
これを家族だけで対応するとなると、いずれ日常が破綻することは明らかなので、日本では、重度訪問介護サービスという障害者総合支援法に基づいた制度が存在します。
しかし、国の設ける制度が整っているとはいえ、実際にこのサービスを利用するには暮らしている地域における各自治体の判断が大きく影響します。
そこで、T先生の号令のもと、毎週、関係者を集めて作戦会議が行われることになりました。
その結果、退院日の直前、T先生のリーダーシップと関係者皆さまのご尽力のおかげで、ひょっとすると、この宇部市では、ボクが初めてのケースではないかというような認定を受けました。
『絶対に失敗は許されない。』
これからあとに続くであろう、同じような境遇で在宅での生活を希望される患者さんの為にも、退院後の生活を絶対に成功させるよう、T先生より厳命されました。
長くなりました。
皆さま、本当にお世話になりました。
ありがとうございました。